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2019年09月30日

HAMMER SYCLE 『Meat Ball』


取材協力=ハマーサイクル phone 029-824-3393 http://www.hammer-sycle.com/

製作から11年の時を経てもなお色褪せないオリジナリティとクオリティ

 カスタムに限らず、服や食べ物など流行が巡っては廃れる『トレンド』というもの……たとえば数年前に『ナタデココ』が流行っていたと思えば今は『タピオカ』といったようにスイーツの世界ではブームが一定の周期で変わっていくのですが、我々が愛するチョッパーの世界では『本当に良いもの』は廃れない魅力が変わらずに残っていくのかもしれません。
 茨城のハマーサイクルの手によって製作されたコチラの車両は、2008年のYOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOWに出展され、当時、弊社が発行していたHARDCORE CHOPPER誌のピックに選ばさせて頂いた一台なのですが、ご覧のとおり車両は今に見ても些かも古さを感じさせないもの。たとえばこの一台が、ここ最近で製作されたものという説明をしても、初見の方ならば、それを違和感なく受け止めるはずです。

 近頃は1970年代の『サバイバー』が復刻されたり、当時のパーツを使った車両を目にすることがあるように、旧いものでも違和感なく認知される特異なカスタムジャンルであるチョッパーというものですが、しかし、この一台に関していえばスタイルといい、ディテールワークといい、ことさらに『ノスタルジー』を感じさせる仕様ではありません。2008年に発行されたHARDCORE CHOPPER誌のページでも『基本的に‘フリスコ・スタイル’のチョッパーを踏襲するものの、一台のマシンとしての完成形は、何も古(いにしえ)のものをただトレースした訳ではなく……』と書かせて頂いているのですが、確かに車体には当時として斬新な手法の数々が散りばめられています。

 1964年のデュオグライドをベースにし、車体をリジッド化した上でこの車両にはナローに詰めたトリプルツリーが装着されているのですが、そこにφ41フォークを合わせる手法やヴィンテージライトの装着などは当時としては、かなり新しい手法でビルダーの濱田康司氏の着眼点とセンスを感じさせるもの。フロントに装着されたドリルド加工が施されたレスターホイールや、そのデザインに併せ、同じようなデザインとなったリアフェンダーマウント、ハンドシフトのハースト製シフトノブや、今や同店の定番パーツとなったベル型エアクリーナーやミディアムエイプのハンドルバーなども然りです。
 おそらくは70sチョッパーの多くがそうであったように、2008年に製作されたこのマシンが目指したのも『斬新なオリジナリティ』。繰り返しになってしまいますが、今見ても古さを感じさないこうしたマシンこそが、後の世にも残り続けていくのではないでしょうか?


ちなみに現在、このマシンはオーナーの今坂正紀氏がネクスト・プロジェクトをひかえる為、FOR SALE中。写真は2008年当時のものですが、カッチリ室内保管されていた為、同じような輝きがキープされています。詳細はハマーサイクルまでお問い合わせをお願いいたします。


センター部にリブ加工が施されたタンクはハマーサイクルの手によるワンオフ。レスターホイールのデザインに合わせてドリルド加工が施されたハンドシフトのレバーやハースト製ノブがアメ車的な雰囲気を強調する。


S&SスーパーBに装着されたベル型エアクリーナーはハマーサイクルのオリジナル。今や同店のカスタムには欠かせない定番です。

マフラーはアーリーショベル時代の1967〜1969年まで採用された純正ターンナウトをアップスウィープの形で装着。旧車のパーツに造詣が深いビルダー、濱田康司氏らしいチョイスだ。リアホイールキャップもハマーサイクル・オリジナル。


いにしえのキッチンテーブルの脚を彷彿とさせるハンドルバーもハマーサイクルのオリジナルをチョイス。ラメ入りのジャックハマーグリップには同店製のグリップリングを組み合わせ、旧車的なムードが高められている。


シートはベースをハマーサイクル、表皮をブルオリジナルが張り込んだワンオフを装着。後部が跳ね上がったデザインを与えることによって着座時のホールド感が追求されている。


テールランプは汎用品のスパルトテールに切断と溶接を繰り返し、ナンバーマウント一体となったワンオフ。こうした細かな箇所もカスタムで見るべきポイントです。

BDL製2インチベルトとなったプライマリーに組み合わされるミッドコントロールもハマーサイクルオリジナル。ペグはダックテールタイプを装着する。


フロントホイールはスポーク部にドリルド加工が施されたレスターを装着。シンプルなフロントブレーキキャリパーはグリメカ製をチョイス。

 

※アイキャッチ画像(サムネイル)撮影=増井貴光 thumbnail photos by TAKA MASUI https://takamasui.com/

 

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