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2019年09月10日

Bike Garage KOKORO 『SALAMANDER』


取材協力=バイクガレージ心 phone 0553-22-9996 http://bikegaragekokoro.com/

ビルダーの技術をストレートに魅せるナックル・カスタム

車体を構成するパーツ類に注がれたシートメタルの技術や斬新なアイデア──カスタム・ショーの会場では、そうした部分に唸らされる車両に遭遇することがありますが、山梨県のバイクガレージ心が手掛け、2018 YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOWや2019ジョインツ・カスタムバイクショーに出展されたこの一台は、まさにその典型と呼べるものかもしれません。
タンクやフェンダーといった車体の外装は、あえてメタル地を活かしたフィニッシュとなっているのですが、歪みのない曲線や溶接面はビルダーであるBGKの内田朝好氏の技術の高さを如実に示すもの。繰り返しになってしまいますが、まさに唸らされる完成度が与えられています。

また一台のカスタムとして見ても、この車両は絶妙なバランスを全体のシルエットの中で見せつけます。先程、述べた外装パーツはもとより、ワンオフのフレームや前後18”のホイール、フェンダーと一体化されたように見えるシート下のオイルタンクなどの纏まりは秀逸です。
カスタムバイクを製作する上で細部のギミックに拘るあまり、バランスを欠いてしまったものも見受けることがありますが、まずは全体のシルエットが重要であることを、このマシンは指し示します。

こうして車体全体の外殻を整えた上で、細部に凝った造りを与えることでカスタムバイクの完成度は高められるのですが、この一台は、そうした点も抜かりがありません。ハンドシフトやステップ周りの造形、テールランプの配置などはビルダーの繊細な技術を十二分に見せつけるものとなっています。
その中で目をひくのが左サイドにデュアルで装着されたS&SスーパーEやフロントフォークですが、一見リジッド・ガーダーに見えるフロントフォークは、リアレッグ部に硬質ウレタンラバーを仕込み、サスとしての機能を確保。ただ『見てくれ』だけに重きを置けばリジッドフォークをすることもアリなのでしょうが、こうした部分に『あくまでも公道を走るストリートバイクを創る』ビルダー、内田朝好氏の信条が伺えます。純正と見間違うクラシカルなルックスでありながら、現在のテクノロジーで再現されるモーターテクニック社製のナックル・モーターを搭載している部分も然りです。
チョッパーの世界といえば、他のジャンルより『ルックス』が重視される傾向にありますが、やはりバイクは『走ってこそ』。その二つの要素をバランスよく、ミックスさせることで秀作が生まれます。
ジョインツ2019でベスト・ナックルを獲得したこの一台は、そうした部分で完璧です。


エンジンはドイツのモーターテクニック社製の40sタイプを選択。美しい造形と現代的な性能を両立する。点火はモーリス・マグネトー。マフラーはBGKによるワンオフを装着します。


革巻きのグリップが印象に残るハンドルバーも当然、ワンオフで製作されたもの。インナースロットル化とノーフロントブレーキによってシンプル極まりないルックスを実現する。


キャブは車体の左サイドにS&SスーパーEを二連で装着。オールドパーツに終始しない内田朝好氏らしい選択である。


歪みのない曲線に板金技術の高さが伺えるタンクもBGKによるワンオフを装着。マウントボルトを隠したテクニックにも注目したい。ハンドシフトのノブも同様にワンオフ。


このマシン最大の見所といっても過言ではないフロントフォークはBGKによるワンオフ。リアレッグ部に硬質ウレタンラバーをかますことによって、サスとしての機能が確保されている。ノーフロントブレーキとなったホイールもワンオフ。

 

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