取材協力=インディゴカスタムサイクルズ phone 092-551-3978 http://www.indigocustomcycle.com/
名車、ローライダーSを素材にした美しきクラブスタイル・カスタム
2008年に全米でシーズン1が放映され、その後は世界各国でも高い人気を博したドラマ“サンズ・オブ・アナーキー”。この影響からアウトローバイカーたちが駆る“クラブスタイル”のマシンが注目を集め、それが一般にも広がり、ひとつのカスタムジャンルとして確立されたことは記憶に新しいのですが、その素材の基本形にあるモデルがFXRやFXDなどのラバーマウントモデルに他なりません。
大排気量のOHV・Vツインエンジンからトルクとパワーと共に発生する“振動”をラバー(ゴム)を介することで軽減するこの機構の開発とEVO以降のオールアルミ・エンジンの出現によって、それまで以上に航続距離を伸ばし、絶大な信頼性を得たハーレーダビッドソンですが、その中で究極といえるのが2017年に登場した“ローライダーS”。ストックの状態でスクリーミン・イーグル製ヘッドが採用された110cu-inのツインカムモーターを搭載するこのモデルを“歴代最強のダイナ”と捉えるマニアの方は多いと思いますが、ここに紹介する車両は、そのモデルをベースに福岡県のインディゴ・カスタムサイクルズが手掛けた一台となっています。
“クラブスタイル”のカスタム、その中で最初に高い人気を博したモデルにEVO時代のFXRがありますが、この車両はフルゲイン製のフェアリングを装着することで往年のFXRT、あるいはFXRDに通じるスタイルを獲得。時にはアメリカ大陸を1日で2000マイル以上、走ることもあるというMCの男たちですが、そうした状況下において大気の壁を切り裂くフェアリングの装着は大きなアドバンテージを持つのは云うまでもありません。ツアラーモデルほどヘビーではなく、乗り手を“風”から守る効果が高いこの手のモデルがアウトローバイカーの男たちから支持される理由も、こうしたマシンを改めて見ると分かるような気がします。
1940年代のBOBBERから後のフリスコスタイル、そして現在まで……チョッパーというカスタム・カルチャーを“点”ではなく、“線”で結ぶと、こうした“クラブスタイル”のカスタムが、その延長線上にあることをご理解頂けると思いますが、アウトローカルチャーが一般に伝播し、それが広がるという部分も同様なのではないでしょうか。
走りとスタイルを両立するこの手のマシンが、今もなお高い人気を博している理由……それがしみじみと伝わる一台です。
エンジンはストックの状態でH-Dのパフォーマンスブランドであるスクリーミンイーグル製キットが組み込まれた110cu-inのTCモーター。ファンネルはvidaモーターサイクル製を装着。
エキゾーストはブラックアウトされたレッドサンダー製を選択。サンダーヘッダーからの流れを汲むパフォーマンス系エキゾーストは、この手のマシンの定番だろう。
ホールド感の高いシートはSPEED MERCHANT製を装着。スピーカーが備えられたリアバックはポリスタイプを選択。警察車両からの払い下げを改造することが多いアウトローバイクの基本に忠実な仕様となっている。
ハンドコントロール周りはワイルドワンのストレートライザーとスラッシン製スーパーバーの組み合わせ。コントローラブルなポジションが追求されている。