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2019年10月17日

YOSSY’S motorcycles 『LONG TALL SALLY』


取材協力=ヨッシーズモーターサイクルズ phone 0533-93-7458 http://yossys.jp/

アイアンスポーツをベースにしたロードゴーイング・ドラッグレーサー

 過去を振り返ってみると1940年代後期にBobberが生まれたことからもお分かりのとおり、レースの世界からの技術や手法が取り入れられ、進化していった『カスタム』というものですが、中には『レーサーそのもの』をイメージソースにし、そのクールさをストレートに表現する方法も見受けることが、しばしばあるように思います。
 たとえばフラットトラック・レーサーやロードレーサー、最近ではLSRなどモチーフとなるものは枚挙に暇がないのですが、アメリカン・カスタムの王道たるハーレーには、アメリカン・モータースポーツの王道であるドラッグレーサーのスタイルが、やはり見事にハマります。ここに見るヨッシーズの手による一台も、そんな事例の典型と呼べるのではないでしょうか。

 メイン部がバレル型フューエルタンクを兼ねたデッドストックフレームにソレックス製2スロートキャブが取り付けられた1977年式XLHの4カムモーターが搭載されたこのマシンは、極端なバックステップといい、定番のドラッグバーといい、確かにレーサー然とした佇まいを見せるのですが、シートカウル内にはサブ・ガソリンタンクを備え、ストリートでの航続距離も確保。ツアラー並とまではいかないものの、ロケットタンクのディガー程度の5〜6リットルのガソリン容量は確保されています。

 ちなみにこの車両が製作されたのは今から6年前、2013年のことなのですが、ビルダーの白井良和氏曰く「オーナーと何かオモロイもんを創ろうと盛り上がって」と当時を回想します。フレームのエンジンマウントを作り変えた上で補強を施し、リアタイヤもドラッグスリックでなくストリート・タイヤを履き、エンジンも基本的にストックをキープするあたりには、「本気のドラッグレーサー」ではなく「あくまでも風味」と彼自身、語るのですが、こうした「遊び心」もカスタムという行為に於いては重要なのではないでしょうか。
 そんな創り手の気持ちが伝わるからこそ、この一台は見る者の心に残るのかもしれません。


1977年式のXLHに取り付けられたソレックス・キャブはオーナーのコダワリとのこと。ウェーバーやS&Sという選択肢もあったとのことですが、クルマや他のバイクにソレックスを装着してたオーナーのガレージに転がっていたものを取り付けたとのこと。極ショートのマフラーにはサイレンサーを内蔵。点火のポイントなどを見る限り、仕様はあくまでもストリートバイクです。


車体が超スリムゆえ、視覚的に幅広に見えるドラッグバーを装着。タコのみのメーター周りが、創り手とオーナーの潔さを感じさせます。メインフレームのガソリンタンクは1リットルほどの容量とのこと。


かなり後方にセットされたバックステップはヨッシーズによるワンオフ。オーナーが、かなり長身の人物だったらしく、普通にストリートを走っていたとはビルダー白井氏の弁。車体の中でアクセントとなる赤いタンクは純正を加工したもの。


車体左サイドに取り付けられたテールランプは定番のルーカスタイプを選択。ヘッドライトはショベルFXのものを流用。こうした保安部品を見ると、この一台がストリートバイクであることに気付かされる。

 

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