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2019年10月23日

Shix motorcycles 『1947 Toshimasah』


取材協力=シックスモーターサイクル phone 072-924-7540 http://www.shix-mc.com/

シンプルを極めた王道のフリスコスタイル

 1960年代、アメリカのサンフランシスコ界隈のアウトローバイカーたちが、軽量かつシンプルなスタイルのマシンを求めて生み出したことが起点と云われるフリスコスタイル……ストックのリジッドフレームを基本骨格とし、タンクやフェンダーを交換し、創り上げられたそうしたマシンは余計な装飾を持たない分、まさにチョッパーのベーシックな基本形と呼べるのですが、大阪のシックスモーターサイクルが製作したこの車両も、まさにそんな時代の息吹を感じさせるもの。1947年式ナックルをベースにツボを押さえたカスタマイズがご覧のとおり好感を持てる一台となっています。

 ストックタイプのフレームにピーナツタンク、サイクルフェンダーにコブラシートと、このチョッパーは、まさに『フリスコ』の定石どおりの仕様が与えられているのですが、フロントに装着された41φのグライドフォークも然りです。ナックル純正の74スプリンガーよりテレスコフォークの方が走行性能的にアドバンテージを持つことは明白ですが、ここも当時のバイカーたちが行ったモデファイに準じた手法と呼べるものとなっています。
 またハイライザーにドラッグバーというハンドル周りのセットアップも「渋滞するクルマの列を縫うようにすり抜ける」には必然であったことも容易に想像がつきます。

 そうした仕様の数々が散りばめられたこの車両ですが、その中でも印象に残るのがフレームや外装が鮮やかなソリッド・ブルーに統一されている点。チョッパーの始まりといえば、それぞれのバイカーが個人、個人のガレージで組み上げたことが起点といわれますが、その当時といえば凝ったグラフィックのペイントワークではなく、このマシンのようにシンプルなカラーリングのものが多く見られたと云われています。そういた部分をサラリと再現するあたりにも、シックスモーターサイクルのチョッパーに対する歴史的造詣の深さが感じられます。
 現在の日本においても、この手のチョッパーは高い人気を博していますが、劣悪な交通事情の中、サバイブするよう与えられた必然の装備の数々が、我々が暮らす環境にもマッチするからなのかもしれません。誤魔化しの効かないシンプルな造りだからこそ、ビルダーの丁寧な仕事ぶりがより際立って見えるこうした車両は、今の日本に於いても、きっと『走り』を堪能出来るはず。素直に『乗りたい』と思わせる一台です。


エンジンは1947年式FLにULのクランクを組み込んだ1300cc。こうした部分も往年のフリスコスタイルの手法が見事に再現されてる。オイル染みひとつない部分からもシックスの丁寧な仕事ぶりが伝わる。キャブはリンカートM74。


シンプルなスラッシュカットのショットガンマフラーも、この手のマシンでは定番の装備。シッシーバーを兼ねたフェンダーストラットの処理やタイヤとフェンダーのクリアランスも、プロらしい仕事をサラリと感じさせるポイントです。


6インチのストレートライザーにベント角が抑えられたドラッグバーという定番のセットアップ。ショベルタイプのグリップにリングを組み合わせるあたりに、ビルダーのセンスが感じられる。


プライマリーは1.5インチのオープンベルトに換装。ジョッキーシフトのノブやスーサイドクラッチのペダル周りの丁寧な造りもプロらしさを感じさせるポイントだろう。ガレージビルドとの明確な違いが垣間見える。


フレームやフェンダーのラインとマッチするようワンオフで製作されたコブラシート。こうした箇所の絶妙なサイジングもセンスを感じさせるポイントだろう。

 

 

 

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