チョッパージャーナル
CHOPPER&カスタムバイクの最新&ディープな
情報を配信「CHOPPER Journal WEB」

2019年09月20日

Mackies Custom Cycles 『Cometa rojo』


取材協力=マッキーズカスタムサイクルズ phone 0564-85-0576 http://mackiescustomcycles.com/

装着パーツがハンドメイドであることを感じさせない
ハイテックな技巧の数々

 当初、集めたボルトオンパーツを使って創り上げようと計画されたカスタム・メニューがオーナーとビルダーのディスカッションによって方向性を変え、それが徐々にエスカレートして……一台のカスタムを製作するにあたって、そうした話を耳にすることもしばしばありますが、愛知県のマッキーズの手によって製作されたこの車両は、ともすれば、それが極端なカタチで具現化された事例かもしれません。
 この一台もそもそもは前後にPM製ホイールを装着したストックルック的なマシンがフィニッシュの姿のゴールとして定められていたそうなのですが、オーナーとのハナシの流れからマッキーズの牧野宏光氏が所有するヨーロッパのW&W製のソフテイル用スイングアームを装着することとなり、1999年式FXSTCにTC用だったソレを大胆に加工すると共にフレームのカスタムにも着手。結果、ご覧のようなショーコンディションのマシンに仕上げられています。


 そのようにして創り上げられたリア周りはタンクとのラインを整え、バランスが保たれているのですが、ここはフレーム加工やメタルワークを得意とするマッキーズの真骨頂と呼べるもの。複雑な取り回しの左右二本出しのマフラーやチンスポイラーの位置に移動した上でワンオフで製作されたオイルタンクなども然りです。
 こうして製作された『ハイテック』なスタイルのカスタムといえば、オールドスタイルのチョッパーと比較して、どちらかというと低い評価を受けがちに感じてしまうことも、ままありますが、『ハンドメイドを駆使する』という部分を考えれば、どちらも注がれる技術は同様のもの。むしろ、『人間が手で創り上げた』ことを感じさせない工業製品のような美しいフィニッシュは、より高い技術が要求されるものとなっています。ハイテックなルックスのマシンがイコールでボルトオン・パーツを駆使したものかと問われれば、決してその限りではありません。

 また走りに関しても「気軽にツーリングに行けるハイテックなカスタム」とこの車両を前にビルダーの牧野氏は語りますが、実際に乗った印象もストック排気量のEVOにアンドリュースのEV27カムをビルトインした上でS&SスーパーEを装着したモーターは十分にパワフルさを感じさせるもの。手前に引かれたハンドルが織りなす楽なポジションは、確かに長距離のツーリングでも効果を発揮しそうです。
 オーナーからの要望を具現化するスタイルと走り……そんなプロの技術力を感じさせる一台です。


エンジンはストック排気量の1999年式EVOにアンドリュースEV27カムをビルトイン。ロッカーカバーはケンズファクトリー製TC用を加工した上で装着する。


リア周りはPM製240ホイールにW&W製スイングアームというセットアップ。タイヤ幅も240程度なので、あえて左ドライブをキープする。


表皮にスティングレー(エイ)の革があしらわれたシートはベースをフルゲイン、レザーをジミードープ、マウント部をマッキーズが担当。旧車のソロサドルをサイズダウンしたかのような雰囲気が高級感を醸す。


チンスポイラーを兼ねたオイルタンクはマッキーズの手によるワンオフ。冷却的なことを考えても効果がありそうな位置にマウントする。


プライマリーはPM製を選択。フォワードコントロールも同社製を選択する。エキパイの取り回しにも注目したい。


ワンオフのタンクにはモトガジェッド製メーターを埋め込み加工。タンクキャップはケンズファクトリー製。ペイントは空筆が担当する。

関連記事