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他店への敬意を込めつつも、オリジナリティを与えたSRチョッパー
カスタム、その中でとりわけチョッパーで求められる“オリジナリティ”というもの。人それぞれによって、その尺度は違うのかもしれませんが、過去に見た他店の車両がモチーフとなり形になったものも少なくありません。それを言い換えればオマージュという言葉になるのですが、辞書を紐解いてみると「芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語」とあります。
美しいアルミ地金を活かしたコフィンタンクやシートレールのドロップダウンなど、定石どおりの手法で形となったこの一台を製作したフリースタイルモーターサイクルの中川年男氏は「ツーパーセンターさんを尊敬しているオーナーさんからの依頼を受けて製作しました」と車両を前にして語るのですが、無論、今や海外にも名を轟かせる滋賀のSRスペシャリストのものを、そのまま再現するのではなく、そこにオリジナリティを加え、ご覧のように新たなチョッパーを創り上げるに至っています。
以前にある古参ビルダーから「後ろから見た立ち姿がチョッパーのカッコよさのキモ」ということを筆者マコナベは個人的に聞いたことがありますが、このマシンもスイングアームを残しつつ、ワンオフのリジッドバーや絶妙な高さのシッシーバー、ハンドルのバランスなどで“バックシャン”な姿を具現化。4インチほど延長されたフォーク長やタンクの形状、そこを飾るM&Kのピンスト&グラフィックなども映えるフィニッシュに仕上げられていることが分かります。
また細かいディテールを見ても丁寧な造りであることがひと目見ただけでも伺えるシフトノブやチェーンガードなど、フリースタイルモーターサイクルの技術の高さを感じさせるもの。フロントフェンダーのマウントやドロップダウンされたシートレールからシッシーバーへと続くラインなども絶妙なラインに仕上げられています。
ちなみに、この車両を昨年の神戸ニューオーダーチョッパーショーの搬入日に撮影した際、フリースタイルの中川年男氏と2%erの山口隆史氏が同じ空間のいたのですが、お互いに「お客さんからツーパーさんみたいなのを創ってと頼まれて」「いやぁ、めちゃカッコいいじゃないですか」という会話が繰り広げられ、終始和やかな雰囲気。真剣にカスタムに対峙し、愛する者同士の間には「パクった、パクられた」ではなく、自然な形で尊敬と感謝の気持ちが芽生えるのかもしれません。
タンクはフリースタイルの手によって製作されたワンオフ。あえて金属の地金を活かしつつも歪みが確認出来ない部分に高い技術力が伺えます。前後のマウント部分も丁寧かつ秀逸です。
ワンオフのリジッドバーをかわすようにセットされたマフラーもフリースタイルの手によるもの。フレームにセットされたキーシリンダーも丁寧な仕事ぶりが伺える造りとなっている。
スクエアタイプのヘッドライトは2%er製を選択。フォークジョイントも同様にツーパー製が組み込まれているという。
複雑なリンケージを介し、ジョッキー化されたシフトはフリースタイルの手によるワンオフ。ペグやクラッチペダルも同様とのこと。
ワンオフのシッシーバーにセットされたテールランプはビルトウェル製。絶妙な形状のハイバックシートはレフティーアートワークス製ワンオフ。前後フェンダーのペイントはノマドコンセプトが担当する。