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2019年10月19日

DRAG☆ON 『DP-05 OBSESSION』


取材協力=ドラッグオン phone 048-931-1800 https://drag-on.jp/

S&Sパンヘッドを搭載したネオ・チョッパーの廃れない魅力

 2000年代にWest Coast ChoppersのJesse Jamesによって、一世を風靡したカスタム・ジャンル、‘ネオ・チョッパー’……今、思い起こすとこうしたスタイルのマシンが世に放たれたことによって、それまでカスタムの世界では忘れ去られた感もあった‘Chopper’というフレーズとジャンルが復活し、現在の世界のチョッパーシーンに繋がっていることは業界に携わる者なら誰しも否めない事実なのではないでしょうか?
 現在の世界のチョッパーシーンはオールドスクールが高い人気を博し、その中心となっているのですが、それもJesse Jamesというビルダーが‘Chopper’というフレーズと概念を復活させたからこそ。EVOモーターを搭載し、ストレッチされたリジッド、もしくはソフテイルフレームを基本骨格とし、ハイテックなムードに仕上げられれたマシンは、登場した当時、かなりセンセーショナルで、まさに『時代を切り拓いた』存在といえるものだったと記憶しています。

 現在でこそ、この手の『ネオ・チョッパー』を以前ほど見かけなくなりましたが、しかし、その‘クールさ’までが廃れてしまったワケではありません。ここに見る埼玉のドラッグ☆オンが製作した一台を眺めると、改めてそんな気持ちが心の中に湧き起こります。
 サンティー製リジッドフレームにパンヘッドスタイルのモーターを搭載したマシンのスペックを見る限り、まさにこの車両は‘Chopperの王道’と呼べるセットアップになっているのですが、やはりフィニュッシュの姿はハイテックなもの。前後に装着されたアルミリムのホイールやブラックとシルバーのツートーンで仕上げられたエンジン周り、ストレッチされたフューエルタンクなどは、‘シルエットはチョッパーながら最新の装備’が散りばめられた‘ネオ・チョッパー’の定石に準じたものです。

 ちなみにこの車両はドラッグオンの店主である速水清一氏ではなく、息子であり、現在の同店の工場長を務める速水唯氏によって製作されているのですが、1982年生まれの彼が、この業界にアシを踏み入れ、修行を重ねた時代は、まさに‘ネオ・チョッパー’の全盛期。そうした空気感をオンタイムで知るビルダーが手掛けたものだけに、フレームの処理といい、タンクやフェンダーの位置関係といい、このマシンは絶妙なバランスで仕上げられています。無論、セルで始動するS&S製93cu-inモーターが織りなす走りもスタイルどおり現在的なものです。
 車名の『OBSESSION』という言葉を辞書で紐解くと『執着』という意味が記されているのですが、ともすればビルダーの速水唯氏にとっては自分が生きた時代の中で‘熱’を生んだ‘ネオ・チョッパー’というジャンルの灯を消さんと思うがゆえの覚悟の表れなのかもしれません。
 十数年後、こうした‘ネオ・チョッパー’も‘永遠の定番’として語られる日が、きっと来る……そんな想いにさせる一台です。


エンジンはS&S製93cu-inモーターにキャブをFCR、エアクリーナーはBARNEY CYCLES Incをセット。パンヘッドのルックスながら現代的な走りを実現する。ロッカーカバーはCCE製を装着。


2インチほどのサイズのライザー上部にはモトガジェット製デジタルメーターをセット。ハンドコントロール類はすべてPM製で統一。扱いに関して一切のストレスを感じないセットアップである。


エンドにコントラストカットが施されたマフラーチップを取り付けたショットガンマフラーはドラッグオンによるワンオフ。フェンダーチップとストラットが一体化されたリアフェンダーも同店のビルダー、速水唯氏の手によるもの。


車体のフレームのラインにピッタリと沿うよう製作されたシートもドラッグオン製。ホースシュータイプのオイルタンクに備えられたキーシリンダーがビルダーのセンスとテクニックを物語る。


プライマリーはBDL製2インチオープンベルトを選択。デュアルで装着されたダイナ製コイルからもお分かりのとおり、ヘッドはツインプラグ仕様となっている。ワンオフのステップ位置も絶妙だ。

 

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