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2019年09月26日

2%er YAMAHA SR400 #136


取材協力=ツーパーセンター phone 077-526-7016 https://2-percenter.com/

ハードテイル&ヴィンテージ・タンクで
往年のBobberの雰囲気を再現する

 派手で絢爛なスタイルを追求するばかりではなく、たとえば歴史の『if』を再現すること……カスタムバイクの魅力には、そうしたものもあると思いますが、ここに見る滋賀県の2%erによるSRは、まさにそれを具現化した好例と呼べるものかもしれません。
 同店がリリースする『SRコンプリート・シリーズ』、それは「カスタムバイクを出来るだけ安価に、短い納期でユーザーに提供する」ことを目的とし、中古車をベースに予め10種類のタイプが用意されているのですが、この一台はその中の『STDハードテイル』がベース。2%erのオリジナル・ボルトオンハードテイルが組まれた基本骨格を起点に、メーカー不明のヴィンテージ・タンクや丸みを帯びたオールドスタイルのリアフェンダー、センター出しのトランペットマフラーなどを装着することで1940年代のBobberのようなムードに仕上げられています。

 勿論、1978年に初期型が生産されたヤマハSRが1940年代のアメリカのシーンで活躍したという史実はないのですが、前述のとおり、この車両は装着パーツが功を奏して見事に旧車的な雰囲気を獲得。サイドにリブが入れられたタンクやリアフェンダーはBACONの手によってエイジング・ペイントが施されており、まるで過去にタイムスリップしたかのようなムードが与えられています。
 このデッドストックのタンクはビルダーの山口隆史氏曰く「40年間、開かずの倉庫の奥底に眠っていたメーカー不明のもの」ということですが、それをただポン付けするのではなく、再度、各部に補強を入れ、グロメットを取り付けることでラバーマウント化。こうした箇所にもプロの配慮と技が光ります。

 またこの車両はシートレール周りがドロップ加工され、同店のリジッドライン・ボルトオンハードテイルがステムからリアアクスルまでストレートなラインを描くようフレームを構築。リアフェンダーもオリジナルのクラシカル・マイナスボルトで取り付けられており、旧車的なムードが高められています。またヘッドライトもベイツタイプのサイドマウントを装着することで車体側に追い込む形でセットし、全体のシンプルで美しいラインが際立たされています。そこからタンク、シート、フェンダーへと続くシルエットもビルダーの細かい配慮が伺えるのですが、シートに関してはタックロールのソロサドルに3インチスプリングを組み合わせ、取り付け角度に拘ることで乗り心地の良さも確保しているとのことです。
 こうして旧車的なスタイルに纏め上げられたこの一台ですが、キャブは現代的なFCRを装着し、鋭い加速を実現。軽量化された車体周りと相まって、あくまでも現代の交通事情の中でも不足のないパフォーマンスに仕上げられています。
 様々な面で安全性を確保した上で、往年の旧車のムードを楽しむ……こうした楽しみもカスタムの魅力のひとつではないでしょうか?


キャブはφ39のケーヒンFCRを2%erがキット化したもの。通常は年式によりアクセルワイヤーやマニホールドなど選択する煩わしい作業が必要となるが、同店ではそれらをセットで販売し、ボルトオンで装着可能とのこと。ファンネルにもゴミの侵入を防ぐネットが備えられる。


タンクは正体不明のヴィンテージにBACONがエイジングペイントを施したもの。マウントを加工することでオイルイン・フレームのヤマハSRにもフィットする。


エキゾーストはワンオフのエキパイに2%erオリジナルの「ステンレストランペットマフラー/ロングベル」の組み合わせ。英車をベースにしたBobber的なムードを強調する。


純正のドラムブレーキには2%erオリジナルのハブキャップをサンドブラスト処理を施した上で装着。ここも旧車的なムードの演出に効果を発揮する。


シートは縦タックロールのソロサドルに3インチスプリングという組み合わせ。BACONによるリアフェンダーへのエイジングペイントにも注目したい。


ステップ周りは2%erオリジナルのミッドハイに換装。適度にヒザが曲がったポジションは、乗り手のライディングフォームを考慮したもの。人車一体でのクールさを追求することもカスタムの基本だ。

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